グローリーサンデーの競馬日記

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HNの由来 サイレンススズカを語る ④沈黙の日曜日

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 HNの由来 史実・サイレンススズカ編 ③スーパーG2 - グローリーサンデーの競馬日記

 

11月1日 G1 天皇賞・秋 [東京 2000m]

 サイレンススズカ陣営としてはココが大本命だった。また、ここを通過点にして、海外にも挑戦する路線だったと後に語っていた。レース前は他の各陣営消極的だった。登録馬は12頭とG1では異例の少頭数でのレースとなった。それもそのはず、無敗の快速馬が得意条件、得意コースで走る訳だからだ。しかも1枠1番と逃げには最高の枠でレースに向かうことになった。ファンからは前走の毎日王冠を踏まえた上で、どう逃げて、どう勝つのか、どれくらいの着差でゴールを駆け抜けるのかと予想されていた。陣営のココを目標というコメントを受け入れ、もはや相手を探すレースと思われていた。

 レース当日はやはりサイレンススズカ単勝1.2倍の1強ムード。続いて天皇賞春秋連覇を狙うメジロブライトが6.2倍、有馬記念覇者のシルクジャスティスが8.4と、同じG1馬の2頭のオッズさえもちぎってしまうほどの人気ぶり。4番人気ステイゴールドからは10倍となった。

 レースはスタートを好スタートを決め、早速突き放した。600メートル付近では隊列が出来た後続集団先頭のサイレントハンターから大きな差が出来ていた。その後も武豊サイレンススズカは加速し、1000m通過は57.4を計測した。ファンの歓声も大きくなる。あと半分は、どういう時計を出すか、後続馬とはどれくらい距離をつけてゴール板を駆け抜けるか。そう思わさせた…

 

 大欅を過ぎるとサイレンススズカの走り方がおかしい。そしてスピードが落ちてきた。鞍上の武豊も流石に異変を察し、後続馬を確認し外に避け、レースを辞めた。「4コーナーを迎えることなく、レースを終えた武豊沈黙の日曜日!!」フジテレビの福原直英アナはこの様に実況した。と同時に大歓声の色も変わった。

 サイレンススズカの変わりにレースを引っ張ったのは、サイレントハンター吉田豊。しかし、残り300mで早めに仕掛けて来たオフサイドトラップが先頭。ステイゴールドも追いかけるがそのまま逃げ切った。三冠馬ナリタブライアンとクラッシックは競い合った8歳馬オフサイドトラップ柴田善臣騎手が、天皇賞・秋を制した。2着には宝塚記念でもサイレンススズカに猛追したステイゴールド蛯名正義騎手。3着は前走もサイレンススズカエルコンドルパサーに続いて入線したサンライズフラッグ安田康彦騎手となった。

 1番人気 サイレンススズカは左前足の故障で競走中止となった。

 

 その後、馬運車で運ばれたサイレンススズカは左前脚の手根骨粉砕骨折 予後不良と診断され、安楽死の処置を執られた…異次元の逃亡者と呼ばれたサイレンススズカは、5歳半ばで天へと駆け抜けた。

スナックズンコちゃんねるによれば、ネットが普及してない当時はスズカの無事を祈るファンからJRAに沢山の問い合わせがあり、職員は濁すこと無く伝えたという。翌日の新聞もオフサイドトラップが優勝よりもサイレンススズカ訃報が1面だった。結果的にオフサイドトラップも次走の有馬記念を最後に引退しているため、最後のG1制覇となったためにオフサイドトラップ陣営はショックを受けたという。9月には同期ナリタブライアンも夭逝したため、オフサイドトラップにとっても分岐点となった1998年であった。

 

 鞍上の武豊騎手はサイレンススズカの事に関して、かなりの精神的ダメージを追っていたと多くの関係者が語っている。幼少期からの付き合いがある福永祐一騎手は、「あんなに落ち込んでいる豊さんは初めて見た」と言ってしまうほどに、そして本人も後のインタビューで自覚しているほどに泥酔していた。

 翌週の同じ橋田満厩舎である、後のダービー馬アドマイヤベガ新馬戦があったが、ゴール前の進路選択が他馬を妨害したとみなされ1位入着ながら4位降着となった。この件に関して、発番も1枠1番と嫌な予感もありサイレンススズカのショックが残っていたものと推測されている。

 その後、武豊は自身初制覇であり思い入れのあるダービー馬スペシャルウィークと共に天皇賞・春を制覇している。宝塚記念グラスワンダーに敗れ、京都大賞典でも7着と惨敗していた中で挑んた天皇賞・秋。ゴール前200m辺りで外から末脚を発揮しステイゴールドのクビ差を制した。武豊にとって、天皇賞・秋という舞台において、昨年果たせなかった思いもあってか後のインタビューにて「サイレンススズカが背中を押してくれた」と語っている。後のジャパンカップでは、同期エルコンドルパサー凱旋門賞にて敗れたモンジューが参戦するも、日本馬代表の一頭として勝利し、【日本総大将】として称えられたのはご存知の通りだろう。

 

 最後に、有名な言葉で閉めさせていただく。

 

 「全国の競馬ファンの皆さんどうでしょうか。いつまでも、そしてどこまでも先頭だった1年前のサイレンススズカのゴールが思い出されます。そして今年もまた貴方の、私の夢が走ります。

貴方の夢は スペシャルウィークグラスワンダー

 

私の夢は サイレンススズカ です

 

夢叶わぬとはいえもう一度この舞台で、ダービー馬やグランプリホースと走って欲しかった。」